バラ十字会の沿革
(頼岡行男 vs 宮尾すすむ 対談)
バラ十字会は、古代エジプト時代からの長い歴史をもち、宗教、政治団体とはまったく無関係の立場で、自然の法則の調査・研究と人生への活用を目的としている同人組織である。同会は幾世紀も保存し続けてきた健康と幸福と平和達成のための未公開の英知を、希望者に通信教育方式により一般公開する奉仕活動を現在、世界150カ国で行なっている。そこで日本本部、グランド・マスター 頼岡 行男 氏 にいろいろと伺ってみる。
自然の法則や真理探究の道を指導
バラ十字会、通信教育方式で ”福音 ”
古代エジプト王朝時代に発生して
宮尾 : バラ十字会は、”人生哲学 ”を教え、人間として正しく生きる道を教える世界的な組織を持った会と伺っていますが、そもそもバラ十字会の沿革を簡単にご説明願いたいのですが・・。
頼岡 : バラ十字会とは、伝説や口伝、ある種の文献によると、古代エジプトの第十八王朝、アクナトン王の時代、紀元前1350年頃に、秘跡(隠された英知)を伝える一学派として発生したものだということです。その異色ある神秘主義は、明らかに古代エジプトの賢人たちの啓蒙的な英知に通じるものと、東洋各地の学術の核心との結びつきを示しているものといえましょう。
宮尾 : なるほど・・。エジプト王朝時代から脈々と流れている哲学ということですね。
頼岡 : さらに伝説によると、初期の会員たちは、大ピラミッドの地下の密室で学習していたともいわれます。壮麗な寺院の中で、入門候補者はこの「大密教」に加入を許されたのです。 また、有名なソロモン王の壮大で象徴的な寺院の建設者に、会員の達人や大家や教師たちが、その密義の一部を伝えたとも伝えられています。
宮尾 : このバラ十字会はエジプトから世界各国へと広がっていったのですか。
頼岡 : 東洋からヨーロッパへ行きまして、1694年に初めてアメリカ大陸に渡来しました。ヨーロッパのバラ十字会支部の一支部長であったヨハン・ケルピアスが率いる一組の会員たちは「思想の自由」と言論の自由、および真理を追究する権利を求めて、西方に自由の地を訪うたのです。この人たちは、現在の大フィラデルフィア市にあたるところに上陸し、最初の植民地を現在、同市のフェアマント公園に築きました。その子孫はペンシルバニア州のエフラタを開拓し、そこにアメリカ大陸の最初の天体観測所と製紙工場を造るとともに、また最初の交響楽団を組織し、最初の植物園を開いたのです。
宮尾 : バラ十字会というのは、宗教でもないし、いわば知的集団といってもいいようなものですね。
頼岡 : そうです。バラ十字会員は、一つの同人組織を形成しています。伝承された秘義に基づく知識と、人間として本来もっている能力を、健全で思慮深い用い方によって人生の可能性の限界を探ろうとする、進歩的思想の所有者の集団といってもいいでしょう。会員たちが抱きつづけ、さらに追加貢献しつつあるこの知識というのは、人間のもつ業績のあらゆる分野にわたり、また人間に知られている宇宙のすべての現象を包括しています。
自分の生活に新たな ”進路 ”を
宮尾 : なるほどね。まさに宗教でもない、政治でもない、人生の可能性の限界を探ろうとする進歩的思想の集団ということですね。
頼岡 : バラ十字会は、発足以来、宗教のもつ宗派や閥や関係団体からは、かけ離れた存在でした。会員各自がこの問題については、各々の良心の指示に従うことを望んだからです。またこの会は、政争の渦中に巻き込まれたことも一切ありません。終始にわたって、迷信や無知、恐怖などを、人間最大の敵として、また人生の支配を妨げるものとして、戦いつづけてきたのです。
宮尾 : バラ十字会日本本部の ”総帥 ”として頼岡さんは会員の人たちを指導されておりますが、会員の ”恩典 ”というものは、どういう点でしょうか。
頼岡 : バラ十字会は、その会員に自分の生活に新たな進路を見出す機会を与え、さらに個人的に満足感と充実感のある生活を営むのに必要な素材を提供します。
宮尾 : なるほど・・。人生の進む道を指導されるわけですな。
頼岡 : また自我を発見することによって、毎日の生活がでたらめのものや、苦しい試練の連続でもなく、歓喜に満ちたものにできるように導かれています。会員は日常の仕事や社会的な努めを何ら変更することなく、古くしてなお常に生新なバラ十字会の ”個人的指導 ”を受け取ることができるのです。
宮尾 : 個人的指導といわれましたが、具体的にどのような方法で行われるのですか。
頼岡 : バラ十字会の提供する親書と指導は人生についての未知の部分に対する知識を、魅力的な方法で啓示してくれます。しかし、バラ十字会の行なっている「人間工学」の偉業、つまり人生の建設や、自信や成功、幸福の要因となるものを会員にしっかりと把握せしめるという仕事は、単に知識を会員に送りつけるというような機械的な手段では果たされるものではありません。その学習書は、会員個人の自覚を促すことが必要であるということをも考慮しています。無味乾燥な事物をむやみに詰め込むことではなく、むしろ、各個人の内部で ”冬眠 ”をつづけている各自の才能や個人の力を覚醒させ賦活させるものなのです。
形式にとらわれない教材 ”親書 ”
宮尾 : それぞれが持っている才能を引き出させ、活性化させるような指導をされるわけですね。バラ十字会の指導の ”特徴 ”はその辺にあるのですな・・。
頼岡 : 会員は自分の家庭の中にあるままで単に学ぶだけにとどまらず、自分の環境や直面している日常の物事を理解し、さらにはそれらを「支配」しつつあることを教えられるのです。そして会員たる者は誰も単に学ぶだけにとどまっていることは許されず、常に実践と実効に連なったものでなくてはならないのです。
宮尾 : 先ほど ”親書 ”といわれましたが、これはどのようなものですか。
頼岡 : 「 統領(インペレーター)」と呼ばれているバラ十字会の最高執行者(世界総本部の会長)は、その会員に与える個人的な親書として、会計や数学の教科書のような内容の固定した書籍形式を避け、一切の教本、教材は常に弾力あるものと定めました。この方法を導入することによって本会の研究者たちが絶えず研究発表している新事実を、その都度教本に折り込んで、会員がその恩恵を享受することができるようにしたのです。従って、各会員は教本を親書の形で毎月四冊を受けとることになっています。
宮尾 : 形式にとらわれない、 ”生きた教材 ”といえますね。
頼岡 : おっしゃる通りです。その字体は大きく、活字はことさら読み易いものが選ばれており、必要に応じて適切な図を挿入して、理解を容易にするなど、バラ十字会の幹部は会員の利益のためには費用を惜しまず、その改善をはかっています。バラ十字会がとっている、この親書形式による自宅個人教育は、教育の専門家がきわめて高い評価を与えている方法で、日刊紙を読んで理解できる人なら、誰でも本会の教本に盛られた素晴らしい、しかも簡単に説明してある真理を歓喜とともに理解できます。
宮尾 : なるほど・・。
頼岡 : 教材が教える魅力的な真理の一端を申しますと、例えば身体の健全化の方法、直観力と判断力、精神力を意のままに活用する時間と空間の謎、人間のもつ五感、人間の意識、魂の本質の探究、神秘法則と原理など、われわれ人間が一番必要なものをキメ細かに指導する形になっています。又、これは通信教育ですので、送られてくる教材を読むだけでなくスクーリングも毎月実施しておりますので皆さんが一堂に集まったときにお互いに具体的に実験、そして体験談をもとにその成果をその場で確かめ合う事もしておりますので自分が納得いくまでやってみますので大きな励みにもなるんです。
宮尾 : そうですか。バラ十字会に古代から伝承されている数々の哲学、真理を現代に生かされて、多くの人たちに生きる喜びを与えておられるということですね。バラ十字会日本本部のグランド・マスターとして頼岡さんの一層のご活躍を大いに期待しております。