バラ十字会

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神秘学を科学する 第3部

Scientific Mysticism Part 3

ウィリアム・ハンド

By William Hand

 このシリーズの第1部と第2部でご説明したのですが、科学が携わっているのは、私たちを取り巻いている世界を観察すること、そして、ものごとがどのように働いているのかを説明するための考え方や理論を発達させることです。その際に、そのような理論が、根拠のある正しい説明を提供したかどうかを確かめるために、実験を行って検証することになります。しかし、ひも理論は、まだ実験によって検証することができません。そして、それが検証できるようになるには、おそらく相当長い時間がかかるでしょう。ひも理論は、「理論物理学」と呼ばれる科学の一分野に属しています。ひも理論は、極めて数学的ですが、優雅で美しい理論であり、その基礎となっている原理には、シンプルでありながら深い含蓄があります。

 観測と実験によって、ひも理論を直接実証することはできませんが、この理論から予測された事柄を実証することは可能であり、それは実際に行われています。そして、ひも理論が無効であることを示すような結果は、これまで発見されていません。また、ひも理論は、物理学に大いに希望を与えるもので、とても良質な科学でもあります。この記事での私の目標は、数学を使わずにこの理論をご紹介し、その後、神秘学を学んでいる人の多くが経験することに、この理論がどのように一致しているのかを見ていくことです。

第1章 縮みゆく人間

The Incredible Shrinking Man

 これは、私が若い頃に初めて見た映画のタイトルです。徐々に縮んで小さくなる薬を飲んだ男のことを描いたSF映画でした。映画の中で、彼はクモと戦い、それはもちろん、彼に比べてはるかに大きいのでした。その後に彼はさらに縮んで、細菌とバクテリアの世界へと入っていくのでした。この映画は、私の想像を激しくかきたてることとなり、そして私は、無限の意味を考え始めたのでした。

 私は大学で純粋数学を研究して、無限という概念についての専門的な教育を受けました。数多くの異なる無限が数学にはあります。しかし、私を含む大方の人が、無限についてじっくり思案をめぐらすときは、宇宙空間の広大さについて考え、見たところ永遠に続くように思われる宇宙空間を先へ先へと進むと、いったいどうなるのだろうかと考えるようです。しかしこの映画は、私が別の方に向かって考えるように促したのです。つまり、私がどんどん小さくなり続けるとしたら、いったい何が起こるのだろうか、そして、それはいつ終わるのだろうかという疑問です。非常に「小さい」無限と非常に「大きい」無限は、数学的には同じです(注:私は、この「小さい」と「大きい」という言葉を、厳密な意味ではなく使っています)。それでは、世界を無限に、もっともっと小さい断片にして見ることができれば、世界を説明するモデルを考え出すことができるのでしょうか? このように想像して理解しようとするのは、宇宙の無限の広さについて考えるよりも、ずっと難しいことが分かりました。しかし、ひも理論によれば、驚くべき答えが提供されるのです。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。