生命の息―そのイオンとの関連
ジョージ・ブレツァ博士、F.R.C.
すべての種類の生命形態は、自身の置かれている環境に応答します。事実、生命の発現は、その生命形態の、自体が発現している環境への反応としてのみ識別が可能なのです。したがって人間の生命の発現は、人間の身体的そして心霊的本質の、環境への反作用としてのみ認識が可能です。地球の大気は、環境の最も生命維持に必要な側面です。その結果、人体における生命の発現は、大気への応答として最も容易に識別されます。この応答を私たちは呼吸と呼んでいます。
呼吸によってソウル人格は、私たちの存在の有限面と無限面との間の接続を確立しています。この接続を通して、私たちは〈自我〉を経験します。したがって〈生命の息〉は、人間の意識と密接に関連していて、そのようなものとして深く注目するに値します。〈生命の息〉は何から構成されているのでしょうか?一体なぜ〈生命の息〉は、身体に引きつけられるのでしょうか?空気中の酸素が、〈自我〉の無限面と身体との重大な接続を維持している唯一の媒体なのでしょうか?
私たちの惑星上の生命のほとんどの種類は酸素なしでは生きられないので、空気中の酸素を〈生命の息〉と同じものであると見なしたくなります。しかしながら、興味深く注目に値することとして予備的な諸実験が示したのは、生命のある形態、たとえば植物のいくつかは、酸素を含んではいるがイオンが枯渇している大気中では生きられないということです。それゆえ明らかに、イオンもまた空気の重要な要素です。しかしイオンは、〈生命の息〉に内在する生命の活力(vitality)の何らかの面を身体にもたらす媒介の役割を務めることが出来るのでしょうか。イオンとは何でしょうか?それはどのように形成されるのでしょうか。
イオンとは、原子や分子で電子を得るか、あるいは失ったものです。原子や分子が電子を得た時には、それは陰極性のイオン、すなわちアニオン(anion)に変わります。一方、原子や分子が電子を失った時には、それは陽極性のイオンすなわちカチオン(cation)に変わります。太陽からの電磁気的な振動が原子や分子から電子を奪ったとき、大気中のイオンが発生し、それゆえ作り出されたイオンは陽極性すなわち陽イオンです。追い出された電子は、極めて活性が高く、近くの、それを受け入れる能力のある原子や分子に結びつきます。追い出された電子を受け入れると、原子や分子は陰極性すなわち陰イオンに変わります。また、地殻内の放射性物質から放出された電子が、適切な原子や分子に結びついたときも、大気中に陰イオンが生じます。
イオンの運動
電離層と地表の間の空間は、巨大な電池のように機能していて、電離層はプラス極、地球はマイナス極の役割を果たしています。これらの極の間の電位差(電圧)は約25万ボルトです。この非常に大きな電位の影響下で、大気中のイオンはそれぞれの極に向かって動きます。極性の法則に従って陰イオンは電離層に向かって動き、一方陽イオンは地表に向かって動きます。これらの運動しているイオンによって電磁的な場が作り出され、地球の回転と公転運動によって生じる場とともに、大気の極性をもたらす一因となっています。 |
イオンは電位の影響下で運動します。イオンが動く時に電磁場が生成されます。生成された電磁場の極性はそれを生成したイオンの極性に依存します。大気中のイオンは、電離層と地表の間にある25万ボルトの電位差(電圧)の影響下で運動します。従って、電離層と地球との間の間隙は巨大な電池として機能し、地表はそのマイナス極となります。このとほうもなく大きな電池の中で、大気中の陽イオンは地球のマイナス極に向かって動く一方、電離層のプラス極に向かって陰イオンは動きます(図1参照)。その結果、地表の近くには、陰極性のものに比べて陽極性の大気中イオンがより多くあります。このようにして、私たちのすぐ近くの環境には、平均的には、4つの陰イオンに対して5つの陽イオンがあります。
私たちのすぐそばの環境中の陽イオンの過剰は、プラスの電磁的な極性を、私たちが呼吸する空気に与えています。したがって、大気中のイオンは、酸素ガスとともに、大気の陽極性の一因となっており、私たちが呼吸している空気の物質的な存在物とともに、身体を活性化しています。したがって、私たちの活力は、物質的な存在物と、非物質的な電磁的な場という二元性から生じています。この観点は、〈生命の息〉は二元性の本質を持つと言明しているバラ十字原理を反映しています。
人間の身体
人体はそれを活性化している大気と同じように、物質的な要素と非物質的な電磁界の両方を包含しています。人体の諸々の場は体液の中に含まれている莫大な数のイオンの運動の結果として生成されています。これらのイオンの多くは常に細胞膜を横切って出入りしており、それによって神経の衝撃、筋肉運動などとして発現している微弱な電流を生成しています。体液が動脈、静脈、リンパ管などを流れる時に、それらのイオンもまた身体の場の一因となります。体液中のイオンに運動を引き起こす電位は、〈生命の息〉によって身体内に発生します。
大気中のイオンのように、体液中のイオンは様々であり、電子を得るか失うかしている原子や分子の性質のいかんによって変化します。体液のイオンは多様ですが、体の電磁的な極性を維持する事に密接に関連している特定のひとつのイオン対があります。ひとつが正で、もう一方が負であるこのイオン対は、水の分子がイオン化される時に作り出されます。ここで言うイオン化とは、非対称的な水分子の解離であり、それは水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)を生成します。
化学的に純粋な水は、等しい数の水素イオンと水酸化物イオンを含んでいます。したがって、その極性は中性です。この事実は、化学的に純粋の水に割り当てられている7という中性なpH値に反映されています。pHという用語は水溶液中の水素イオン濃度の指標です。pH値が7より大きい時には、陰極性の溶液を意味し、pH値が7より小さい時には、陽極性の溶液を意味します。体液は7.2~7.4のpH値です。したがって、血液、リンパ液、および他の体液は陰極性です。事実、体の各細胞は大部分が水で出来ており(75~80%)、したがって、それらもまたこの陰極性を反映しています。
〈生命の息〉が身体に引き付けられる理由は第一に極性の法則が、正反対のものが引き付け合うことを規定しているからです。この法則に従って、生まれたばかりの赤ちゃんの身体は陰極性が支配的になっているので、大気の陽極性を引きつける強力な中心になっています。したがって、赤ちゃんの最初の呼吸は、私たちの存在の、陽極性と陰極性との、あるいは有限面と無限面との接触のひとつの発現なのです。赤ちゃんが呼吸をし続けると、〈生命の息〉は大気の陽極性が体液に直接繰り返し触れるようにし、次に各細胞もそれに触れるようにします。このようにして、私たちの物質的な存在の陰極性は、私たちが呼吸する大気を通じてソウル人格の陽極性によって常に、挑まれ活性化されています。陽極性に活性化する〈息〉のこの作用は、吸ったり吐いたりするのに対応する身体の極性の変化として、実験室内で実証する事ができます。バラ十字会の陽極性呼吸の実習が、身体の極性のマイナスを少なくしている、すなわちよりプラスにしていることを感度の良い電圧計を使って観察することができます。反対に、陰極性の呼吸は、図2に示されているように極性をよりマイナスにします。
図2:バラ十字呼吸法の実習は体の電磁的な極性に影響します。この図は、陽極性の呼吸が身体の極性のマイナスをより少なく、すなわちよりプラスにしたことを示しています。一方、陰極性の呼吸は身体の極性のプラスをより少なく、すなわちよりマイナスにしました。陰極性の呼吸に続いて正常な呼吸を再開した時に、身体の極性はよりプラスになりました。これら実習の全体としての影響により、最初の-4mVから終わりの-2mVまで、身体の極性はプラスの側に変化しました。 |
私たちが自身を意識するということは、私たちの存在の有限な面と無限な面との、生命維持に不可欠な結びつきから生じ、イオンは、体の内部と外部の他の物質的な実体ともに、〈存在〉のこれら2つの面が調和的な相互作用によって、人間の意識を発現させる媒介として役立っています。このように身体は、私たちが物質として認識している存在のあの状態を経験することを通じて、〈自我〉の目覚めがそこで鍛えられ育まれる電磁的なパターン、つまりひとつのるつぼの役割を果たしているということができるでしょう。
※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。
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