バラ十字会

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神秘学を科学する 第3部

Scientific Mysticism Part 3

ウィリアム・ハンド

By William Hand

第4章 ひも理論が示唆していること

Implications of String Theory

 さて、私たちは、次元について、より良い理解に達したので、ひも理論の「ひも」に戻ることにしましょう。私たちは、「ひも」が観察不可能なほど小さく、一次元であることを知っています。また、「ひも」は想像しうるあらゆる振動数で振動していることを覚えておいてください。それらの振動から、数多くの多様な相互作用によって、私たちが住む三次元の世界を構成する基本的な要素のすべてが作り出されています。しかしながら、非常に大きいか、非常に小さいかのいずれかである別の次元においても、「ひも」は振動しています。宇宙に存在するすべての「ひも」のことを考えてみると、私がこのシリーズの第2部で紹介したシステム理論から予測したのと同じあり方で、「ひも」が機能し活動していると理解されることでしょう。つまり、「ひも」の振動がエネルギーを提供していて、「ひも」の相互作用が情報を提供しています。したがって、「ひも」は、情報とエネルギーを含むシステムとなっています。

 情報は決して失われることなく、システムに蓄積されていくことも第2部で学びました。したがって、私たちは、知識の格納庫は、目に見えない次元にあると想定することができます。私たちはなぜ、この驚異的な結論に達することができるのでしょうか? 頭の中で実験をしてみましょう。たとえば、小石のような“現実の世界”の物体を手に取ったところを思い浮かべてください。そして、その小石を粉々に砕いて、その構成要素である電子やクォークなどの微細な粒子にしたとしてみましょう。何が起こるでしょうか? 物理的な結合が壊されて、それらの粒子はばらばらになってしまって、小石はもはや存在しなくなることは明らかです。しかしながら、「ひも」はまだ振動していて、目に見えない次元では、おそらくそれらの粒子は、依然(い ぜん)として一体のものとして振動し、目に見えない次元でひとつの石の形をしています。言い換えれば、“現実の世界”の小石を作っている情報は、まだここに存在することができるのですが、それは目に見えない次元にあるのです。それは、いわゆる「サイキック」(霊的)と呼ばれる、すなわち、物質的な小石に対応して別の次元に存在する小石なのでしょうか? もしこれが事実なら、それが意味しているのは、目に見えない次元が、私たちの人生で大きな役割を果たしているということです。いくらか議論の余地のあるこの意見を述べ終えたので、ここで、今回の記事を締めくくりたいと思います。

 次回の第4部では、神秘学の話題を具体的に検討して、近代科学の発見、特に量子物理学、システム理論、ひも理論が、私たちの理解と内的な体験を拡大するために、どのように役立つかを探っていくことにしましょう。

参考文献

Flatland-A romance of many dimensions, by Edwin A.Abbot(1884). ISBN 0-486-27263-X.

Flatterland-Like Flatland only more so, by Ian Stewart(2001). ISBN 0-333-78312- The Rosicrucian issues.

The Elegant Universe, by Brian Greene(1999). ISBN 0-099-28992-X.

The Universe in a Nutshell, by Stephen Hawking(2001). ISBN 0-593-04815-6.

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。