神秘学を科学する 第6部
Scientific Mysticism Part 6
ウィリアム・ハンド
By William Hand
第2章 意識と根源的生命力
Consciousness and Vital Life Force
しかし、人間と高性能コンピューターの違いという問いに戻れば、人間は生きていてコンピューターは生きていないというのが、一般的な考え方です。では、「生きている」とはどういうことでしょうか? 原子は生きているのでしょうか? 私たちは生きているのでしょうか? 私たちは、自分たちが生きていることを知っています。そして、第5部で提示された議論から、原子もまた生きていると言うことができます。つまり、「受動的な意識」と「能動的な意識」という概念を比較することによって、生きていることにも様々なレベルがあり、そのレベルは複雑さが理由で異なっているという結論を出すことができたからです。
明らかに、「生きている」ことにはレベルの差があります。原子には、あなたや私と同じような意識はありません。では、コンピューターシステムが複雑さを増していくと、自己意識を持つようになる、ある決定的な臨界点があるのでしょうか? しかし自然界を見渡したときに、そのような具合になっている事例は見あたらないので、その可能性は極めて低いように思われます。したがって、単純なものと複雑なものとの間には決定的な差異はなく、どちらも「生きている」と考えられるのですから、原子と私たち人間の両方に何か共通するものがなければなりません。
多くの可能性がありますが、還元主義的な考え方を採用するとすれば、結局のところ、原子も人間も基本的には振動する「ひも」の組み合わせであると言うことができます(第3部を参照してください)。振動のあるところにはエネルギーが存在します。そして、エネルギーのあるところには力が存在します。そして、その同じ力が原子にも私たち人間にも働いています。その違いは、人間に働く力のほうが強いということです。そのうえ、その力は脳だけで働くのではなく、私たちの体の全ての部分で働きます。結局コンピューターと私たちを隔てているのはこの力の強さなのです。神秘家たちはこの力を「根源的生命力」(Vital Life Force)と名付けました。略してVLFと呼ばれることもあります。
※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。