神秘学を科学する 第7部
Scientific Mysticism Part 7
ウィリアム・ハンド
By William Hand
第2章 重力
Gravity
私たちの宇宙には、物理学上で知られている4つの基本的な力があります。
・ 弱い核力
・ 強い核力
・ 電磁力
・ 重力
弱い核力は、放射性崩壊に関与しています。強い核力は、原子核内でクォークという素粒子を結びつけて中性子と陽子を形成している力です。電磁力は、電気や光を伝達することや、物に触れたときに手が感じる感触、磁性や電子の挙動などに関与しています。これらの力にはいずれも、伝達粒子(carrier)と呼ばれるものがあり、この伝達粒子は振動するひもから生じています。たとえばグルーオン(gluon)は強い核力の伝達粒子であり、フォトン(photon:光子)は電磁力の伝達粒子であり、グラビトン(graviton:重力子)は重力の伝達粒子です。ご存じのように、惑星のような巨大な物体が、太陽の周りを軌道を描いて回っているのは、重力のおかげであり、私たちの足が地に着いていられるのも重力によるものです。
それではこれらの4つの力のうちで、どれが最も強いのでしょうか? そう、もちろん重力でしょう!ところがそうではないのです。重力は、実際には、他の力よりもはるかに弱い力です。小さな磁石で金属のかけらを拾うときのことを思い浮かべていただければ、重力の反発に抵抗することがいかに簡単なことか、すぐにお分かりになります。ちなみに、あなたの腕の力こぶの筋肉が出す力の大きさを重力にたとえるとすれば、電磁力を出すのに必要とされるのは、宇宙の大きさほどもある力こぶになります! では、なぜ重力は他の力よりもずっと弱いのでしょうか? 現在の理論では、重力の大部分は、目に見えない次元、なかでも他の次元を包含しているとても大きな次元で働いていると考えられています。私たちがこの世界で目にしている重力は、重力全体のほんの一部でしかありません。言い換えれば、重力は目に見えない次元へと漏れ出しているのです。
この理論は、まだ議論されている段階です。2007年の後半に、スイスのジュネーブ近郊にある欧州原子核研究機構(CERN:Conseil Europeen pour la Recherche Nucleaire、略称セルン)で、世界最大の粒子加速器が完成しました。この非常に大きな加速器は、大型ハドロン衝突型加速器(Large Hadron Collide、略してLHC)と呼ばれています。全周が約27キロメートルの中空のリングであり、地下50メートルから150メートルの深さに埋設されています。この加速器で加速された陽子の持つ大量のエネルギーが、放出された他の素粒子のそれぞれにたたきつけられます。その衝突の際に、重力子が観測されることが期待されています。しかし、重力のほとんどが目に見えない次元で働いているという先ほど述べた理論が正しいならば、重力子は現われるとすぐに、目に見えない次元へと完全に移動し、消えてしまうことになります。そのようなことが起これば、それは、ひも理論の間接的な証拠になります。そこで、次の問いについて考えてみましょう。重力子は、ソウルの力を構成している素材をひとまとまりにしている粒子だということがありうるだろうかということです。では、この可能性について調べていくことにしましょう。
※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。