神秘学を科学する 第8部
Scientific Mysticism Part 8
ウィリアム・ハンド
By William Hand
第2章 実績を評価し進み続ける
Taking Stock and Moving On
サイモンはまるでビデオを見ているかのように、生まれてから死ぬまでの間の、自分の行動や振る舞い、考えたことや望んでいたこと、そしてそういったことが他の人に与えた影響など、すべてのことを思い起こしました。彼が他の人を傷つけてしまったときには、その人の痛みを感じ、他の人を助けたときには、大きな喜びを経験することができました。彼は、自分が第三者であるかのようにその思い出のことを感じてはいましたが、その思い出には深い意味があり、そこから教訓を学びました。
彼は前の人生で本当になし遂げたことが何だったのか、まだできていないことが何だったのかを理解しました。それだけでなく、協調的でなかったり寛容でいられなかった自分自身の振る舞いのために、悪い結果になってしまったできごとがあり、それを取り戻すために行わなくてはならないのは何なのかということも分かりました。万物からなるこの宇宙は、巨大なシステムのようなものであることに彼は気づきました。それは、あらゆる次元で自由に流れている情報とエネルギーを備えたシステムです。過去と現在と未来はすべて一体となり、サイモンが地上で知っていたような「時間」は消滅しました。
そのシステムでは、ほとんどの部分が調和しているように思えましたが、調和していない部分もありました。彼はエネルギーが光であり、情報が命であり、エネルギーと光の交換が愛であると気づきました。彼はどこかで読んだ文章を思い出しました。「〈光〉を持たない〈命〉は無力であり、〈命〉を持たない〈光〉は無益である」。ついにその意味が完全にわかったのでした。彼は命であると同時に光であり、粒子であると同時に波動であり、情報であると同時にエネルギーであり、だからこそ彼には、創造する力があるのです。
しかし創造する力を持っているがために、その能力によって調和を乱すことになってしまったのです。彼が償わなくてはならないと理解したのはそのような行動でした。そしてサイモンは、新しく得た意識や、今存在している場所やその状況に適応し続けていきました。その意識や環境を、私たちはただ推測することしかできません。しかし、時間が存在しないその状況では、サイモンは〈意識〉の経験を通じて、知識を得ていくであろうということは私たちにもわかります。(注:〈意識〉とは一般的に受け入れられているあらゆる種類を含めた意識のことです。第5部をご参照ください。)やがて彼は、地上に戻る準備ができたことがわかりました。彼は行わなくてはならないことを知っていました。彼には使命があり、その使命は素晴らしいものでした。
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