バラ十字会

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神秘学を科学する 第2部

Scientific Mysticism Part 2

ウィリアム・ハンド

By William Hand

 神秘学的なやり方で人生に取り組もうとすることに対して、好意的に理解しようとしていないと、科学は長年にわたり、たびたび批判されてきました。しかしこのことは、一部の科学者については事実ですが、科学全体として考えると、全く異なる見解となります。

 科学という言葉は、ラテン語の動詞の「知る」(scire)を語源としています。また、科学の目的は、真実を発見することです。つまり科学という行いに含まれるのは、情報を集めること、そしてその情報の精度を上げるために研究をすることであり、その究極の目的は、「自然は実際には、どのように存在しているのかを見いだす」ということです。残念なことに、科学は非常に複雑であり理解するのが難しいと、よく言われています。しかし、科学は必ずしも複雑で難しいものではありません。というのも、少なくとも部分的にであれば、誰もが理解できるようなやり方で説明できない事実は、ほとんどないからです。したがって、この記事と、このシリーズの今後の記事では、複雑な数学や公式は使わずに、易(やさ)しいけれども高い質を保ちながら、考え方を効果的に伝えることに集中していきます。今回の記事の目的は、この点を念頭に置きながら、〈ソウル〉と「〈愛〉の果たす役割」についての科学的な仮説を探究し、発展させることです。このテーマは、私が2003年にイギリスのギルフォードで開催されたバラ十字全国大会で行った講演に基づいています。あなた自身が〈自己〉(Self)を探究する際の栄養として、この記事が役立ち、その結果、人生についての、あなた自身の神秘学的な目標を追求する際に、さらに確信を深めていただけることを望んでいます。

第1章 生きているソウルと愛が持つ力についての科学

Science of the Living Soul and the Power of Love

 どんな探検でも同じですが、私たちが行わなければならないのは、第一歩を踏み出すことと、その仕事をなすための正しい装備と道具があるかを確認することです。私たちはまた、達成したいと思うことを十分に明確にしておく必要があります。したがって、まず、「生きているソウル」(Living Soul)という言葉が、何を意味しているかを考えてみましょう。もちろん、この言葉の意味を明確にすることは難しいのですが、ほとんどのバラ十字会員は、〈ソウル人格〉(Soul personality)や〈心の内部にいる達人〉(the Master within)や〈ソウルの力〉(Soul force)が表現されたものに関連するものだろうと、何となく理解しています。また、私たちはひとりひとりが孤立しているのではなく、大海を形作る無数の小さなしずくのように、すべての人が、ひとつの〈ソウル〉の一部分であると理解しています。この繋(つな)がり合っているという感覚は、〈ソウル〉が2つの性質を持つことと同様に、非常に重要です。〈ソウル〉の2つの性質とは、つまり、「大海」と「しずく」の両方として同時に存在していて、そしてまた、この2つにはお互いに補い合う意味があるということです。

 このシリーズの第1部で検討したように、量子物理学はこのテーマに明らかに関連しています。したがって、私たちの考えを展開するときに、量子物理学の世界からいくつかの主要原理を借用することは、驚くべきことではありません。また、科学の世界の他の理論も私たちはいくつか必要とします。これらの理論によって、下記の3つの重要な科学的原理が提供されます。

1.量子物理学によれば、「存在するすべてのものは、常に動いていて、波動と粒子の両方として表れる」。

2.ひも理論 (このシリーズの第3部で扱います)によれば、「究極的には、すべてのものは、ある“実体”の多次元空間における振動から構成されている」。

3.量子力学では「時間と空間や規模にかかわらず、あらゆるものの間には関連」があることが示されている。

 以上の原理と、私たちが〈ソウル〉について理解していることは、私たちが仮説を構築していくための構成要素です。しかしながら、すべての建築家は道具を必要とします。したがって、私たちは、偏見のない探究心を持って、量子物理学、ひも理論、システム理論を一緒にして使用し、論理的な思考と直観的な思考の助けを借りることにします。システム理論は、非常に重要であり、この後に詳細に説明します。すべての優れた探究者は、偏見のない心を持たなくてはなりません。そして、疑問を持つ能力と、様々な答えを探す能力が、進んでいくためには不可欠です。直観的な思考は、多くのバラ十字会員が自然に身につけるものです(偏見のない探究心も同様です)。論理的な思考は、自分たちがどこにいるかを常に把握し、そして説明を行うために不可欠です。しかし、直観もまた、一連の情報をひとつのまとまったものにしたり、論理的には必ずしも明白ではない関連性を見つけ出したりするために必要です。論理的な思考を利用することは、道を見つけようとして地図を見ているようなものですが、直観は、そもそも旅行を続けるのに必要なことかもしれません。

 ※上記の文章は、バラ十字会が会員の方々に年に4回ご提供している神秘・科学・芸術に関する雑誌「バラのこころ」の記事のひとつです。バラ十字会の公式メールマガジン「神秘学が伝える人生を変えるヒント」の購読をこちらから登録すると、この雑誌のPDFファイルを年に4回入手することができます。