バラ十字会

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神秘学を科学する 第2部

Scientific Mysticism Part 2

ウィリアム・ハンド

By William Hand

第2章 システム理論

Systems Theory

 非常に簡単に言うとすれば、システム理論とは、2つかそれ以上の“もの”がどのように一緒になって、別の“全体”を作りだすのかに関わる科学です。この理論がどのように働くかを説明する非常にわかりやすい例は水です。ひとつの水分子を構成しているのは、2つの水素原子と1つの酸素原子であることを私たちは知っています。これらの原子には、それぞれ個々の特性があります。それぞれの原子どうしが結びついて気体分子となっているときもまた、それぞれ個々の特性があります。しかし、水素原子と酸素原子が結合し、一緒になったときだけに、完全に異なる驚くべき第3の物質が作られます。それが水です。

水分子のボーアのモデル――水分子の構造

 水には、酸素単独のときにも水素単独のときにもない特性があります。この特性はどのようにして生じるのでしょうか? そのシステムが原子であっても、分子であっても、銀河であっても、または人という集団であっても、すべてのシステムの基本的な働きは、システムを構成する要素の間での、情報とエネルギーの交換です。その結果、構成要素の結合が起こり、より大きなものになることが可能になります。良く知られている吸引の法則が作用し始めて、システムを構成している要素が調和している状態にあるならば、それらの構成要素は結びつき、「お互いの長所を引き出す」ことになります。すべてのシステムにおいて重要なもうひとつの特徴は、フィードバックが行われるループ(訳注:結果が、次の原因となるようにする回路)の存在です。カルマはフィードバックループの好例です。このようなフィードバックループでは、情報とエネルギーがシステムの中を循環し、記憶が蓄積され、その結果として、システムに蓄えられている絶えず変化する情報とエネルギーが、時間の経過とともに進歩していきます。ちなみに量子物理学によれば、システムを構成する要素の相互作用の履歴、すなわち記憶は、絶えずシステムに保持され、時間の経過とともに更新されていきます。

 水素原子などのような、とても単純なシステムがあります。一方、DNAや人体、体と心とソウルからなる自己の全体など、多くのシステムは複雑なものです。しかし、すべてのシステムは、「生きている」、すなわち目に見えない活力に満たされていると考えることができます。「生きている」とはどのようなことかを明確に定めるひとつの方法は、その構造が複雑であることか、保持している記憶が複雑であることに関連づけることです。すなわち、その構造が複雑であれば複雑であるほど、その構造が保持している情報は多量になり、その構造は、よりいっそう活力があるものになります。ところで、何が記憶に蓄積されているのでしょうか? このことに答えるためには、情報とエネルギーという話題に私たちは戻らなければなりません。というのも、システムに記憶されているのは、情報とエネルギーの流れだからです。したがって、私たちは、この情報とエネルギーについて、もう少し理解を深める必要があります。

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